ひび割れの開閉で噴き出すエンケラドスの間欠泉
【2014年8月1日 NASA】
土星の衛星エンケラドスでは、氷と水蒸気が噴き出す間欠泉が観測されている。その領域の詳しいデータ分析から、これらの間欠泉が地下深くから噴き出しているものであることが明らかになった。
土星の衛星エンケラドスの南極付近には、「タイガーストライプ(虎縞)」と呼ばれる主に4本の100km以上にもわたるひび割れがあり、そこから氷の粒や水蒸気が噴き出して間欠泉となっている。この間欠泉が見られる領域が高温であることなどから、土星の重力で変形を受ける潮汐作用で発生する熱が間欠泉の存在と関連があるらしいことはわかっていた。
だが、ひびの部分がこすれて発生した摩擦熱で表面の氷が水や水蒸気となるのか、それともひびが開閉して地表の奥深くから水蒸気が噴き出るのか、詳しい仕組みについては特定されていなかった。
米・宇宙科学研究所のCarolyn Porcoさんらは、探査機「カッシーニ」のデータから間欠泉の噴出箇所101個を特定し、さらに高解像度の熱分布マップと比較した。その結果、高温スポットはそれぞれ10m単位のひじょうに小規模なもので、噴出箇所と対応していた。このことから、熱により噴出が起こっているのではなく、噴出により熱が観測されていることがわかった。つまり間欠泉は、ひびが潮汐作用で開閉することで地下から出てくる水蒸気と考えられる。
また、間欠泉の全体的な噴出量の変動をエンケラドスの公転周期と比較したところ、ひび割れの開閉にともなう噴出であると仮定した場合と一致していることもわかった。