「はやぶさ2」降下を開始、明朝8時着陸へ

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JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの降下を開始した。明日8時25分ごろ着陸する予定だ。

【2019年2月21日 JAXA / NHK

「はやぶさ2」は今日(2月21日)午後13時15分(日本時間、以下同)、リュウグウ上空20kmのホームポジションから降下を開始した。

当初計画では午前8時45分から降下開始の予定だったが、4時間半遅れてのスタートとなった。現時点で原因は不明だが、機体の状態には問題がないという。

リュウグウ北半球
1月24日に撮影されたリュウグウの北半球。赤い矢印の位置が着陸予定地点(提供:JAXA/東京大/高知大/立教大/名古屋大/千葉工大/明治大/会津大/産総研)

(注:現在リュウグウは地球から約3億4000万km離れているため、「はやぶさ2」と地球との間の通信には片道約19分かかる。以下の時刻表記はすべて地球での時刻で、「はやぶさ2」側では19分前にその事象が発生している。また、着陸計画の各予定時刻は±30分程度ずれる可能性がある。)

計画では、まず高度5kmまで降下し、今夕18時52分に降下継続の可否判断が行われることになっている。この高度5kmまでの降下速度を速めることで、以降は当初の(午前から降下を開始していた場合の)スケジュールと同様の運用になる見込みだ。

降下継続と判断されれば、明日(22日)午前6時02分に高度約500mまで降りたところで最終的な降下の決行/中止判断が行われる。決行と判断されれば、これ以降は「はやぶさ2」の完全自律判断で降下を続ける。着陸までの間には、「ターゲットマーカーをカメラで捕捉できたか」「姿勢が安定したか」など、いくつかのチェックポイントが設定されていて、万一異常が生じればそこで降下は中止となり、「はやぶさ2」は自律的に上昇する。

着陸シーケンス
「はやぶさ2」の着陸シーケンス。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA)

同午前7時27分には高度45mで、探査機を着陸用の姿勢に変える。これによって高利得アンテナを地球に向けることができなくなるため、ここから先は地球との通信は低利得アンテナで行われ、単純な電波信号のみが「はやぶさ2」から地球に送られる。地球ではこの電波の周波数がドップラー効果で変わるようすから、「はやぶさ2」が着陸して上昇に転じたことなどを確認する。

着陸シーケンス
「はやぶさ2」着陸シーケンスの詳細。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA)

予定どおりに進行すれば、リュウグウへの着陸は明日の午前8時25分となる見込みだ。その後、8時44分ごろに再びアンテナを高利得アンテナに切り替えて、探査機の状況を示すデータを確認する。探査機に異常がなく、着陸のためのコマンドがすべて正常に処理されていれば、この段階で「着陸成功」が宣言されるとみられる。

地上時刻(日本時間) 項目
2月21日 12:36 降下開始の可否判断開始(当初予定は07:43ごろ)
2月21日 13:15 ホームポジションから降下開始(当初予定は08:45ごろ)
2月21日 18:52 降下継続の可否判断開始
2月21日 18:52 減速して降下継続
2月22日 06:02 最終降下判断(GO/NOGO判断)開始
2月22日 07:27 高度45mで高利得アンテナ(HGA)から低利得アンテナ(LGA)に切り替え
2月22日 08:25 タッチダウン
2月22日 08:25 上昇確認開始
2月22日 08:44 LGAからHGAに切り替え
2月22日 08:44 探査機状況確認開始
2月22日 18:37 ホームポジション復帰ΔV確認開始

最新のタッチダウン運用計画。※時刻は確定したものではない(提供:JAXA)

着陸時には弾丸を発射してリュウグウ表面を砕き、物質を採取することになっているが、明日午前の段階では、「弾丸を発射するコマンドが実行されたかどうか」は確認できるものの、実際に弾丸が出たかどうかの分析は後日になるという。また、着陸の直前・直後に撮影された画像データなどが公開されるのも、明日夜か明後日に探査機がホームポジションに戻った後になるとみられる。

JAXAでは、明日朝6時45分から9時15分ごろまで、着陸運用を行っている管制室のようすなどをインターネットでライブ中継する。また、NHKの特設webサイトでも、今日17時から明日12時ごろまで、JAXAと共同開発した「SHVはやぶさ2可視化システム」を使い、「はやぶさ2」の状況をほぼリアルタイムにCG映像化してライブ配信する。ぜひ着陸の瞬間を見届けよう。

「はやぶさ2」タッチダウン運用ライブ配信(提供:JAXA)

2月20日記者説明会の動画(提供:JAXA)

(文:中野太郎)

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