「はやぶさ2」第1回着陸で採れた試料は3.1g以上

このエントリーをはてなブックマークに追加
「はやぶさ2」が地球に持ち帰った小惑星リュウグウの試料のうち、第1回タッチダウンで採取されたA室試料の新たな画像が公開された。

【2021年2月10日 JAXAはやぶさ2プロジェクト

昨年12月6日に探査機「はやぶさ2」のカプセルによって地球に送り届けられたリュウグウの試料は、現在JAXA相模原キャンパス内のキュレーション施設で粒子の観察や測定が進められている。2月4日の記者説明会では、サンプルキャッチャーの3つの部屋にそれぞれ入っていた試料のうち、2019年2月の第1回タッチダウンで使われた「A室」の試料の新しい画像が公開された。

A室試料
2月4日の記者説明会で公開されたA室試料の画像。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA、以下同)

サンプルキャッチャーが開封された後、各部屋の試料はまず漏斗状の「回収容器」に移された。現在は窒素で満たされた装置の中で、回収容器からさらに直径21mm、深さ5mmのシャーレのような「観察用容器」に試料が移され、重量の測定と光学顕微鏡での観察が行われている。

A室の試料は観察用容器3皿分の量があり、3皿の合計量は3.1gだった。ただし、回収容器から観察用容器にA室試料を移す際に、回収容器の上の方に溜まっていたやや大きな粒子(直径数mm)については、観察用容器には入れず個別に拾い上げられて別途保存されているため、これらの重量は含まれていない。

A室の試料は典型的な炭素質隕石よりも黒く、ピンセットでつまんでも壊れないほど硬いという。サンプルのキュレーション作業を取りまとめている「はやぶさ2」プロジェクトチーム統合サイエンスチームメンバーの臼井寛裕さん(JAXA宇宙科学研究所教授)は、「「はやぶさ2」でリュウグウを観測したデータから、試料が黒いことは予想できていたが、もっと多孔質でもろいのではと考えていた。硬さのある粒子だったことは驚きだった」と述べている。

「はやぶさ2」は2月10日現在、地球から約3300万kmの距離(月までの距離の約86倍)まで離れている。現在はイオンエンジン3基を運転して、拡張ミッションの最初の目的地である小惑星2001 CC21を目指して飛行中だ。2~3月の間は、これまで「はやぶさ2」が経験したことがないほど太陽に近い位置(約0.86天文単位(=1.3億km)以下)を飛行するため、プロジェクトチームでは、太陽に近づいて温度が高くなる状況でイオンエンジンに問題が生じないか、飛行を通じて調べる試験を行うことにしている。

はやぶさ2の現在位置
「はやぶさ2」プロジェクトwebサイトに表示されている2月10日現在の探査機の位置。地球から約3300万km離れている。画像クリックで表示拡大

【録画】小惑星探査機「はやぶさ2」の記者説明会(21/2/4)

〈参照〉

〈関連リンク〉

関連記事