「ロゼッタ」が見た、彗星活動が刻む模様

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チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を探査している探査機「ロゼッタ」の初期成果が、米「サイエンス」誌の特集でまとめて発表された。彗星の物理的な性質や、彗星活動を物語る地表のようすなどが明らかになっている。

【2015年1月23日 ヨーロッパ宇宙機関

2014年8月からチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P:以降CG彗星)を追跡しながら観測を行っている欧州探査機「ロゼッタ」により、彗星の物理的な性質や彗星活動を物語る地表のようすなど、多くのことが明らかになってきた。

まず、2つの塊がくっついたような彗星核の外観の正確なサイズや体積などが測定で求められている。総質量はおよそ100億tで、大部分は密度1500~2000kg/m3の水の氷と塵でできているが、70~80%の空洞部分があるため全体の密度は470kg/m3と小さい。氷と塵の塊がゆるく集まった、すかすかな構造のようだ。

彗星の形状については、1つの大きな天体が削られたものなのか、それとも2つの天体がくっついたのかは、まだはっきりしていない。2つのパーツの組成がよく似ていることから考えると、前者がやや有力だという。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のさまざまな計測結果
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星のさまざまな計測結果。クリックで拡大(提供:ESA)

彗星核の表面は、日の当たる北部を中心に全体のおよそ7割が撮影済みで、「大きな窪地」「ぽろぽろ」「なめらか」「岩石状」などさまざまなタイプが見られる。太陽光を多く浴びる北部では氷の揮発にともなって塵も多く放出され、その一部がふたたび表面に降り積もるため、多くの塵に覆われている。

表面の塵の厚さは数mに及ぶところもあり、彗星内部の熱を閉じ込めている。表面の大部分は塵などの炭素物質だが、ところどころに氷が露出した白っぽい箇所も見られる。

地球では風が形作る、砂丘のような波や岩陰の細かい模様は、彗星活動によって作られたもののようだ。最長500mにもおよぶランダム方向のひびや鳥肌のような模様など、彗星の形成プロセスに関連しそうな興味深い地形も見つかっている。彗星からの放出は主にくびれの部分からだが、小さな穴から局所的なジェットが放出される箇所もある。

彗星の揮発活動によって作られた地形
彗星の揮発活動によって作られたとみられる地形(提供:ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA)

局所的な彗星ジェットが放出されている穴
局所的な彗星ジェットが放出されている箇所。右画像でジェットが見える(提供:ESA/Rosetta/MPS for OSIRIS Team MPS/UPD/LAM/IAA/SSO/INTA/UPM/DASP/IDA)

彗星活動の変化については、2014年6月の水の放出が毎秒0.3L、8月末には毎秒1.2Lとすでに増加が観測されている。今年8月の近日点通過にともない、彗星から放出される塵やガスの量や組成の変化、彗星コマに太陽風や紫外線が当たって作られる電離圏・磁気圏の発達、前回の近日点通過で放出され彗星周囲に残った塵の動きなどが注目される。

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