球状星団中で起こった惑星破壊
【2015年4月20日 NASA】
発見はまず、天文衛星「インテグラル」がさそり座の球状星団NGC 6388に新しいX線源を検出したことから始まる。以前の観測でこの球状星団の中心にブラックホールがあることが示唆されていたため、X線はブラックホールに流れ込む高温ガスから発せられていると考えられた。しかし「チャンドラ」で観測を行ったところ、このX線源の位置が中心からずれていることが明らかになった。
さらに衛星「スウィフト」が約200日間にわたってX線の強度変化を追い続けたところ、X線が弱くなっていく様子は、惑星が白色矮星に破壊されたとする理論モデルと一致していた。惑星の質量は地球の3分の1ほどで、元は別の星の周りを公転していたとみられている。球状星団の中心部には星が密集しているため、それらの影響で惑星は親星と離れ離れになる。そして惑星が白色矮星の近くを通りかかったときに、強い重力の影響で粉々に破壊されてしまったようだ。X線は惑星のかけらが白色矮星の表面へと降っていく際に放射されたものと考えられ、その強さも計算とよく合っている。
白色矮星は、太陽程度の質量の星が進化の最終段階に迎える天体だ。大きさは地球ほどしかないが質量は元の星と同程度なので、極めて高密度になり近くの天体に強い潮汐力を及ぼす。今回の解釈が正しければ、惑星の破壊というまるでSFのような現象は実際に宇宙で起こりうるということになる。
〈参照〉
〈関連リンク〉
- X線天文衛星チャンドラ: http://www.nasa.gov/mission_pages/chandra/main/
〈関連ニュース〉
- 2010/09/16 - 球状星団の巨大ガス惑星は、ほぼすべて破壊された?
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