巨大ブラックホール周囲にマイルドな環境

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アルマ望遠鏡による観測から、渦巻銀河M77の中心ブラックホールの周囲に有機分子が集中して存在することがわかった。有機分子を壊すようなX線や紫外線の放射が大量の塵とガスでさえぎられている領域があることを示す、重要な成果となる。

【2015年2月26日 国立天文台

国立天文台の高野秀路さんと名古屋大学の中島拓さんらの研究チームは、くじら座方向の渦巻銀河M77をアルマ望遠鏡で観測し、銀河中心部に存在する巨大ブラックホールの周りに有機分子が集中して存在することを初めて明らかにした。こうした分子は、ブラックホール周囲では強烈なX線や紫外線放射によって壊されると考えられているが、今回の観測成果は、大量の塵とガスによってX線や紫外線がさえぎられている領域があることを示唆している。 この成果は、高い感度と幅広い周波数帯の電波を一度に観測できる能力を兼ね備えたアルマ望遠鏡ならではのものであり、謎に包まれた巨大ブラックホール周辺の環境を理解するうえでひじょうに重要な発見といえる。

渦巻銀河M77の中心部
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した、渦巻銀河M77の中心部。シアノアセチレン(黄色)、硫化炭素(赤)、一酸化炭素(青)の分布が示されている(提供:ALMA(ESO/NAOJ/NRAO), S. Takano et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope and A. van der Hoeven)

くじら座の銀河M77の位置
くじら座の銀河M77の位置。化けクジラの喉の辺りにある。距離は4700万光年、明るさは9.5等(「ステラナビゲータ」で星図作成)

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