岩塊や色の違いが見えてきたリュウグウ

このエントリーをはてなブックマークに追加
6月18日から20日に探査機「はやぶさ2」が撮影した小惑星「リュウグウ」の最新画像16枚が公開された。

【2018年6月21日 JAXAファン!ファン!JAXA!

探査機「はやぶさ2」は6月21日12時(日本時、以下同)の時点で小惑星「リュウグウ」に約76kmまで近づいている。「はやぶさ2」はあと4回の軌道制御を行って、6月27日前後にリュウグウに到着予定だ。

JAXAから、18日から20日に望遠の光学航法カメラ「ONC-T」で撮影されたリュウグウの画像16枚が公開された。撮影時の「はやぶさ2」からリュウグウまでの距離は220~100kmほどで、2日前に公開された330~250km付近からの撮影画像に比べてリュウグウがさらに大きくとらえられ、地形がいっそう詳しく鮮明に見えるようになってきている。

リュウグウ
6月18日から20日にかけてONC-Tで撮影された「リュウグウ」。拡大補間と明暗強調処理を行ってある。画像中の日時は世界時。画像クリックで表示拡大(提供:ONCチーム(JAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研))

《杉田精司ONC主任研究者による解説(抜粋)》

リュウグウに一段と近づいて個別の地形が判別できるようになり、リュウグウは地勢に富んだ星であることがわかってきました。表面には多数の岩塊が転がっています。なかでも、画像の上側に見える岩塊は差し渡し約150mと大きく、周囲より明るい色をしていて(反射率が高く)目立っています。また、赤道付近を取り巻く帯状の峰も、周辺より少し明るい色をしています。このような色の違いは、物質の組成や粒子径の違いを反映している可能性があります。さらに、クレーターのような窪地がいくつも見えます。これらの窪地は天体衝突で作られた可能性があります。溝のような構造も見えます。

このような多様な地形の存在は、リュウグウが複雑な進化の歴史を経てきたことの表れです。一般に、リュウグウのような直径1kmに満たない小型の小惑星は、数億年以内という太陽系の歴史の中ではかなり最近に母天体から分裂して生まれたと考えられています。これらの地形は、母天体からの分裂の様相やその後の進化を私たちに教えてくれるでしょう。

関連記事