調査が一段落のキュリオシティ、次の目的地へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2013年7月19日 NASA (1)(2)(3)(4)

火星の岩石のサンプル調査からかつての環境の手がかりを得るなど大きな成果を挙げてきた探査車「キュリオシティ」。今月初めにこれまでの調査エリアを離れ、約8km離れたクレーターの中央丘を目指している。


キュリオシティが7月16日に撮影した火星のようす

7月16日、次の目的地がある南西方向をとらえた画像。19日には全走行距離が1kmを超えた。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

NASAの火星探査車「キュリオシティ」は、昨年8月の着陸地点から東へ500mほど離れたグレネルグ(Glenelg)周辺領域で岩石調査を行い、過去の火星に微生物に適した環境が存在したことなどを明らかにしてきた。

7月に入り、「キュリオシティ」はおよそ半年を過ごしたグレネルグを離れて次の目的地マウント・シャープへ歩み出した。グレネルグから南西約8kmの距離にあるマウント・シャープはゲール・クレーターの中央丘で、そのふもとには露出した地層が多くあり、かつての環境の変化などの痕跡が見つかるのではないかと期待されている。


火星大気が失われた新たな痕跡

火星大気の分析も、キュリオシティのミッションのひとつだ。これまでに複数の地点で大気を採取して分析を行っており、炭素やアルゴンの分析から、かつて火星大気が大量に失われたことが示されてきた。

NASAのPaul Mahaffyさんらが19日に発表した2本の新論文でも、酸素と炭素、水素それぞれについて、同位体(同じ元素でも、中性子の数により質量が異なるもの)の比率測定から、重い同位体が火星誕生間もないころにおける推定比率よりも多いという結果が出された。

火星大気の大部分を占める二酸化炭素を構成する炭素や酸素などのこうした分析結果は、地表との関連によるものではなく、上層大気の軽い同位体から失われていったというプロセスを示唆するものとなっている。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉

〈関連製品・商品〉