14年ごしの観測で見た、ペルセウス座GKの爆発の広がり

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理化学研究所などの日米研究チームが、1901年に0等の明るさで出現した新星「ペルセウス座GK」の爆発の広がりをX線観測でとらえた。14年前の観測との比較から爆風の速度や爆発のエネルギーがわかり、新星爆発についての理解が進むと期待される。

【2015年3月17日 理化学研究所

年老いた星との連星を成す白色矮星(恒星の燃えかす)では数十年から数万年に1回、隣の星から取り込んだ水素ガスが表面に堆積することで小規模な核爆発が起こる。いわば日ごろためこんだストレスを定期的に発散しているようなもので、この現象を「新星」と呼ぶ。新星の爆発で飛び散ったガスの爆風が強い衝撃波を作り、周りのガスを高温のプラズマになるまで加熱しながら大きく広がる。その際にプラズマが放射するX線を観測すると、ガスが拡散するようすがわかる。

ペルセウス座GK
ペルセウス座GK。可視光(茶色:ハッブル宇宙望遠鏡)、電波(マゼンタ:超大型干渉電波望遠鏡群)、X線(青:チャンドラ)の像を合成(提供:X-ray: NASA/CXC/RIKEN/D.Takei et al; Optical: NASA/STScI; Radio: NRAO/VLA)

理化学研究所の武井大さんらの日米共同研究チームは、1901年に新星爆発を起こし0等の明るさに達した「ペルセウス座GK」に着目した。1500光年彼方のこの天体は、現在は13等の明るさで観測され、数年おきに10~11等までの増光を見せる。

研究では、ペルセウス座GKの爆発の衝撃波で過熱された高温プラズマを2013年にX線天文衛星「チャンドラ」で観測し、2000年にやはりチャンドラがとらえた画像と比較することで、高温プラズマが広がるようすを追った。新星の爆発でのこうしたようすがはっきりとらえられたのはこれが初めてのことだ。

観測の結果、ペルセウス座GKの爆風は秒速300km程度で、ガスの温度を約100万度に維持しながら14年間で0.01光年(約900億km)ほど広がったことがわかった。X線の明るさは14年前と比べ6、7割程度にまで低下していた。プラズマの温度には大きな変化が見られないことなどから、衝撃波で過熱されたプラズマが拡散し、密度が薄くなった可能性が高い。さらに、観測で求めた温度や密度、爆風の速度、爆発のタイムスケールなどを理論と照らし合わせ、爆発全体のエネルギーや飛び散ったガスの全体量を見積もることができた。

今回の成果により、新星が宇宙に及ぼす影響の理解がさらに進むと期待される。

ペルセウス座GKの爆風先端部におけるX線強度分布の比較
ペルセウス座GKの爆風先端部におけるX線強度分布の比較(提供:Takei et al.2015,ApJ/Copyright:The Astrophysical Journal, RIKEN/D.Takei)


ペルセウス座GKの位置

ペルセウス座GKの位置を「ステラナビゲータ」で表示

ペルセウス座GKの位置を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示することができます。[天体]メニューの「恒星」ダイアログで、変光星や新星の表示をオンにしてください。また、新しいデータや番組をオンラインで入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

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