打ち上げから26年 磁気圏観測衛星「あけぼの」運用終了
【2015年4月10日 JAXA】
磁気圏観測衛星「あけぼの」(EXOS-D)は、1989年2月22日に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)からM-3SIIロケットで打ち上げられた。当初の観測対象はオーロラ現象だったが、2011年度以降はバンアレン帯(地球をドーナツ状に取り巻く高放射線領域)の調査が主目的となった。
バンアレン帯を通過する軌道を持つ「あけぼの」は放射線に耐える設計となっていたため、26年間活躍しつづけた。11年の太陽活動周期をこえる長期間の観測により、オーロラの発光が夏より冬に強くなることや、太陽活動が強くなるとバンアレン帯の外帯が縮小することなど、太陽活動とこれらの現象との関連の解明に大きく寄与した。
近年は、9種類の観測機器のうち残っている3種でバンアレン帯プラズマなどのデータを得ていたが、軌道の変化による日照時間の減少やバッテリーの劣化などで観測効率が低下しており、4月の観測をもって運用を終了することとなった。
「あけぼの」が得た成果や知見は、2016年度に打ち上げ予定の「ジオスペース探査衛星」(ERG)に引き継がれる。
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〈参照〉
- JAXA: 磁気圏観測衛星「あけぼの」の運用終了について
〈関連リンク〉
- JAXA:
- 星ナビ.com こだわり天文書評: 「北極圏のサイエンス オーロラ、地球温暖化の謎にせまる」
〈関連ニュース〉
- 2013/09/27 - ベテラン衛星「あけぼの」が、太陽活動とバンアレン帯の関連を解明
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