2008年
梅雨が続く間、夜空では春の星たちがすっかり西に傾き、東の空で夏の星が存在感を示している。はくちょう座のデネブとともに夏の大三角を構成する、こと座のベガとわし座のアルタイルは、七夕のおり姫星とひこ星。伝説どおり7月7日にだけ2つの星が接近する…ことは決してないが、星空の中で動き回る惑星や月に注目すると、一夜限りの接近はよくあることだ。
夕方の西空では火星と土星がじりじりと近づいていたが、10日に最接近を迎える。この日は望遠鏡の低倍率でも同じ視野に入るので、土星の環を火星と同時に観察できそうだ。すぐ近くにはしし座の1等星レグルスもあり、6日には細い三日月まで加わる。
月は大きく、ほかの星に接近するどころか隠してしまうこともある。20日に海王星、27日にはプレアデス星団(すばる)の食が起きる。ただし、どちらも東の低空で起きる現象なので、観測は難しそうだ。
一方、9日に衝を迎える木星は大きく動き回ることもないので、夏休みの間はいつでも見られる。もちろん長い年月で見れば移動していて、去年はさそり座のアンタレスに接近していたが、今年は天の川の対岸、いて座で輝いている。
接近といえば、6月12日にわれわれの地球、6月24日に太陽と接近したボアッティーニ彗星も忘れてはいけない。7月は日を追うごとに暗くなるので、夜明け前に東の低空で5等級で見える7月上旬が見ごろ。同じ明け方の空では、2日に西方最大離角となる水星も観察しておきたい。
流星も、彗星などから離れたちり粒が地球に接近し衝突するときに見せる一瞬の輝きだ。梅雨が明けるころ、29日のみずがめ座流星群を皮切りに、夏の流星群シーズンがはじまる。毎晩のように、異なる現象や天体が見られる夏の夜。今夜も、一夜限りの星空を見に行こう。
図は、15日の午後8時頃に、南に向かって見上げたときの星空です。
月初めは午後9時頃に、月末は午後7時頃に同じような星空になります。
水星
上旬 | 中旬 | 下旬 | |
等級 | 0.1 | -0.9 | -1.9 |
視直径 | 7.4" | 5.9" | 5.1" |
星座 | おうし | ふたご | ふたご |
現象 |
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金星
上旬 | 中旬 | 下旬 | |
等級 | -3.9 | -3.9 | -3.9 |
視直径 | 9.7" | 9.8" | 10.0" |
星座 | ふたご | かに | かに |
現象 |
火星
上旬 | 下旬 | |
等級 | 1.7 | 1.7 |
視直径 | 4.4" | 4.2" |
星座 | しし | しし |
現象 |
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木星
上旬 | 下旬 | |
等級 | -2.7 | -2.7 |
視直径 | 47.3" | 47.0" |
星座 | いて | いて |
現象 |
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土星
上旬 | 下旬 | |
等級 | 0.9 | 1.0 |
視直径 | 16.7" | 16.3" |
星座 | しし | しし |
現象 |
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天王星・海王星
天王星(中旬) | 海王星(中旬) | |
等級 | 5.8 | 7.8 |
視直径 | 3.6" | 2.3" |
星座 | みずがめ | やぎ |
現象 |