リュウグウのようなC型小惑星の破片は壊れやすい
【2019年7月22日 ドイツ航空宇宙センター】
2018年10月3日に探査機「はやぶさ2」の小型探査機「MASCOT」が小惑星リュウグウへ投下され、MASCOTは17時間にわたってリュウグウの探査を行った。MASCOTは、姿勢を変えホップするという史上初の型破りな動きでリュウグウ表面を移動し、表面の様子を撮影したり熱放射計「MARA」で表面物質の密度や熱放射の特徴を調べたりした(参照:「「はやぶさ2」の小型機「MASCOT」がリュウグウに着地成功」/「「はやぶさ2」の小型着陸機「MASCOT」の移動経路を解析」)。
その画像や赤外線観測データから、リュウグウの表面には小さい物質がなく、多孔質の大きい物質で覆われていることが確認された。これまでの地球上からの赤外線観測で、リュウグウのような炭素を多く含むC型小惑星は砂や小石程度の小さい物質で覆われていると考えられてきたが、リュウグウではそのような物質が見られなかったのだ。「リュウグウには驚かされました。表面に大きな岩しか観測されなかったのです。それらは非常に多孔質で、おそらく非常にもろいはずです」(MARA主任研究員・ドイツ航空宇宙センター Matthias Grottさん)。
C型小惑星は小惑星の大半を占めているが、その一方でC型小惑星が起源と考えられる隕石の発見数は非常に少ない。今回の探査結果から、そのような隕石が非常に少ないのは、C型小惑星の破片が非常に壊れやすいために地球の大気でほとんど燃え尽きてしまうためと考えられる。「つまり、C型小惑星の破片のうち地上へ到達して隕石となることができるのは、大きなものだけです。C型小惑星由来の隕石が地上でめったに見つからないのは、それが理由だったのです」(Grottさん)。
地球の大気は、想像以上にC型小惑星から私たちを守ってくれているようだ。ただし、大気が守ってくれる最大サイズの小惑星がどのくらいなのかを決定するには、さらに研究が必要である。
〈参照〉
- DLR:MASCOT confirms what scientists have long suspected
- Nature Astronomy:Low thermal conductivity boulder with high porosity identified on C-type asteroid (162173) Ryugu 論文
〈関連リンク〉
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