大成功!「はやぶさ2」によるリュウグウのサンプルリターン

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「はやぶさ2」のカプセル内に、目視できるサイズの粒子を含むリュウグウからの試料が目標量以上に採取されていて、リュウグウに由来するガスも封入されていたことが確認された。

【2020年12月15日 JAXA(1)(2)JAXA はやぶさ2プロジェクト

12月6日にオーストラリアに着陸した「はやぶさ2」のカプセルは現地での簡易検査を経て、8日にJAXA宇宙科学研究所・相模原キャンパスへ運ばれて開封作業が始まっていた。14日にはカプセル内のサンプルキャッチャー(サンプル格納容器)の入り口に小惑星「リュウグウ」の粒子が付着していることが確認されている(参照:「『はやぶさ2』のカプセルからリュウグウ由来のサンプルを確認」)。

コンテナ開封作業
キュレーションクリーンルーム内でのサンプルコンテナ開封作業の様子。このコンテナ内にサンプルキャッチャーが収められている。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA、東京大学、九州大学、JAMSTEC)

それに続き、15日午前中にサンプルキャッチャーのA室の蓋が外され、その中に目視で確認できる数mmサイズの粒子がいくつも入っていたことが確認された。A室のサンプルは「はやぶさ2」が1回目のタッチダウン時に採取したものだ。

キャッチャーA室内の粒子
キャッチャーA室内の粒子。画像クリックで表示拡大(提供:JAXA)

これらの試料がリュウグウのサンプルと判断できる根拠として、JAXAではサンプルコンテナがリュウグウ周回軌道上で完全に密封された点を挙げている。ただし、リュウグウ由来の粒子であるという科学的な断定は、今後の分析を待つ必要がある。

サンプルの質量は今後測定されるが、見た目にはスプーン1杯ほどで、JAXAが目指していた採取量100mgを確実に達成しているとみられる。また、粒子をより分けて取り出せる1mmを超えるサイズのものが多く含まれていることも重要で、同位体分析や、岩石を破砕したり溶かしたりといった詳細な分析が可能になると期待される。リュウグウから届いた大きな粒子の強度や密度といった物理的情報が得られれば、小惑星の母天体の進化を知るための重要な手がかりとなる。

一方、回収直後にオーストラリアで行われた簡易検査でコンテナからガスが採取され、窒素と酸素の割合が地上と異なることがわかっていた。日本到着後の12月10日から11日にかけてガスの質量分析を行ったところ、オーストラリアで得られたガスと同じ成分であることが確かめられた。

これは、日本で採取されたガスがオーストラリアでの採取後に再びサンプルから発生したものであることを示しており、ガスがリュウグウに由来することを意味している。地球圏外から気体状態の物質のサンプルが地球にもたらされたのは、世界初のことだ。その正体は太陽風で運ばれてきてリュウグウの表面に叩き込まれた揮発性ガスと考えられている。

サンプルキャッチャーの残るB室とC室は年明け以降に開封される予定だ。C室には2回目のタッチダウンで回収したサンプルが入っていると見込まれる。B室はタッチダウンでは使われていないが、運用の途中で蓋を開けていたため、スラスターを噴いた際の微粒子が入っている可能性があるという。

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