接近探査まで3か月、冥王星と衛星カロン
【2015年4月16日 New Horizons】
NASAの探査機「ニューホライズンズ」は2006年に打ち上げられ、目標天体の冥王星とその衛星カロンを目指して長い旅を続けてきた。9年半の旅の末、今年7月14日に冥王星に最接近し、冥王星のそばを通過しながら観測を行う予定だ。そのニューホライズンズが今月9日に撮影した、冥王星とカロンのカラー画像が公開された。
撮影時、冥王星からニューホライズンズまでの距離は約1億1500万kmで、これは地球から太陽までの距離(約1.5億km)よりも近い。この距離から撮影しても冥王星とカロンは単なる明るい点のようにしか写っていないが、探査機を正確に冥王星との最接近ポイント(冥王星表面からわずか1万2500km)へと導くうえで重要なデータとなる。
ニューホライズンズは冥王星の大気や表面の様子を探査するほか、カロンの大気の有無などを調べる。また、計画が始まった2001年には見つかっていなかった他の4つの衛星(ニクス、ヒドラ、ケルベロス、ステュクス)の調査や、他にも衛星がないかどうかを探す予定だ。
さらに、冥王星を通り過ぎた後にも、太陽系外縁天体を探査する計画になっている。「この歴史的ミッションから得られた成果で、私たちは教科書を『書き換える』のではありません。一から書き起こすのですよ」(プロジェクトチームのHal Weaverさん)。
〈参照〉
- New Horizons: NASA's New Horizons Nears Historic Encounter with Pluto
〈関連リンク〉
- 冥王星探査機ニューホライズンズ: http://pluto.jhuapl.edu/
- 星ナビ.com こだわり天文書評: 「なぜ、めい王星は惑星じゃないの?」
〈関連ニュース〉
- 2015/02/05 - 最接近まであと半年 「ニューホライズンズ」がとらえた冥王星
- 2014/08/26 - 探査機ニューホライズンズ、海王星軌道を越えて冥王星へ
- 2014/08/07 - アルマ望遠鏡で冥王星の軌道を精密測定
- 2014/06/17 - 衛星カロンに地下海はあったか 答えは来夏の冥王星探査で
- 2013/07/03 - 冥王星の衛星に「ケルベロス」「ステュクス」命名
関連記事
- 2024/09/10 カイパーベルトの外側に10個以上の天体を発見
- 2024/07/02 カイパーベルトは予想外に広い?鍵となる天体を「すばる」で発見
- 2021/01/15 ハッブルの10倍暗い宇宙を見たニューホライズンズ
- 2020/12/28 氷天体の環境を左右するガスハイドレートの形成
- 2020/06/18 冥王星の大気崩壊が急速に進行
- 2020/06/17 地球とニューホライズンズから星の視差測定に成功
- 2019/08/15 冥王星の14の地名を新たに承認、ローウェル領域、ライト山など
- 2019/07/02 太陽系外縁天体の衛星は巨大天体衝突で形成された可能性
- 2019/05/28 冥王星の内部海の鍵はメタンハイドレート
- 2019/05/24 「ウルティマ・トゥーレ」は「ウルティマ」と「トゥーレ」が合体してできた
- 2019/02/18 最果ての天体ウルティマ・トゥーレはパンケーキ形だった
- 2019/01/30 ウルティマ・トゥーレの鮮明な画像
- 2019/01/07 ニューホライズンズ、65億km彼方のウルティマ・トゥーレをフライバイ探査
- 2018/08/31 ニューホライズンズ、ウルティマ・トゥーレを初検出
- 2018/06/07 ウルティマ・トゥーレに向けて目覚めたニューホライズンズ
- 2018/05/31 冥王星は10億個もの彗星衝突でできたのかもしれない
- 2018/04/13 「キューブリック山」など、冥王星の衛星カロンの地名を正式承認
- 2018/03/16 ニューホライズンズの次の目標天体は「世界の果て」
- 2018/02/19 ニューホライズンズ、28年ぶりに史上最遠撮影記録を更新
- 2017/09/14 冥王星の地形に初の公式名称、「ハヤブサ大陸」など