ホットジュピターでなくても、傾いた軌道を持つ系外惑星
【2013年10月24日 NASA】
約3000光年彼方の赤色巨星「ケプラー56」の周囲にある惑星が、中心星の赤道面に対して45度も傾いた軌道を回っていることがわかった。ホットジュピター(中心星のそばの巨大ガス惑星)のない惑星系では貴重な発見だ。
NASAのDaniel Huberさんらが、はくちょう座の方向約3000光年彼方の赤色巨星「ケプラー56」の赤道面に対して周囲の2つの惑星の公転面が45度も傾いていることを発見した。
研究チームでは、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータから、中心星表面の複数箇所における明るさの変動を分析し、地球からの観測方向に対してその自転軸が45度も傾いていることをつきとめた。2つの惑星は、地球から見て手前を通過(トランジット)しながら公転している。つまり、これらの惑星の公転面は中心星の自転軸に対して45度傾いているということになる。
惑星は中心星をとりまく塵やガスの円盤の中から生まれるので、中心星の赤道面と惑星の公転面は揃っているのが自然だ。この太陽系でも、惑星は太陽の赤道から7度以内の範囲を公転している。
ではなぜ、ケプラー56の惑星の軌道は傾いているのか。コンピュータシミュレーションから、中心星からはるか遠くを周回する、木星の3倍以上の重さを持つ巨大惑星の重力の影響と考えられるという。この第3の惑星はケック天文台の観測で実際に見つかっている。
こうした傾いた軌道が、ホットジュピター(つぶれた楕円軌道を持ち、極端に中心星の近くを回る巨大ガス惑星)以外の系外惑星で見られるのは初めてのことだ。
ホットジュピターはしばしば中心星の赤道面から傾いた軌道を持っている。ほかの天体との“重力の押し合いへし合い”で形成されたなどの説があるが、確かなことは不明のままだ。傾いた軌道がホットジュピターだけではないことを示した今回の成果は、これらの謎を精査する重要な一歩となるかもしれない。
ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示
ステラナビゲータでは、760個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、ケプラー56(中心星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。
10月22日、これまでに確定した系外惑星の数が1000個を越えました(系外惑星エンサイクロペディア)。