シミュレーションで推測、太陽系第9惑星存在の可能性
【2016年1月21日 Caltech】
カリフォルニア工科大学のKonstantin BatyginさんとMike Brownさんが数値モデルとコンピュータ・シミュレーションから、太陽系の「第9惑星」が存在する可能性を示した。計算によればこの天体は海王星の20倍以上も遠いところを1万年から2万年かけて公転しており、地球の10倍の質量を持つ。推測される大きさから、小惑星や準惑星ではなく「惑星」であると考えられる。
Batyginさんたちは別の先行研究を元に、太陽系の最遠に位置する6つの太陽系外縁天体の軌道を調べ、公転周期や遠日点(軌道上で太陽から最も遠ざかる点)の距離は異なるものの概ね同じ方向を向いた楕円軌道をしていることに気が付いた。さらに、これら6天体は軌道の傾きもほぼ一致していた。
未知の天体の影響によってこのような軌道になったと考えて条件に合うようなモデルを探ったところ、近日点(軌道上で太陽に最も近づく点)が6天体とは180度反対にあり、楕円軌道で公転する質量の大きい「第9惑星」が存在すると仮定すれば、うまく説明できることが示された。
「第9惑星」があるとすれば、セドナや小惑星2012 VP113といった非常に遠い天体の軌道も説明できるという。セドナは一番太陽に近づくときでも海王星の外側にあり、小惑星2012 VP113はさらに遠い。
さらに計算からは、「第9惑星」の影響によって太陽系の惑星の軌道面と垂直な軌道を運動する太陽系外縁天体が存在するはずだと予測されるが、実際にそのような天体が4つ見つかっている。
シミュレーションやモデルをさらに改良する一方で、観測的な「第9惑星」探しももちろん始まっている。軌道上のどこにあるかは不明だが、もしかしたら過去の画像中に見つかるかもしれないし、太陽から一番遠ざかっていても「すばる望遠鏡」などで発見できる可能性がある。
Brownさんは10年前、冥王星が惑星から準惑星に再分類され太陽系の惑星が8個になった際に大きな役割を果たした人物の一人だ。彼らによって減らされた太陽系の惑星が、再び(彼らによって)9個に戻る日がやってくるかもしれない。
〈参照〉
- Caltech: Researchers Find Evidence of a Real Ninth Planet
- The Astronomical Journal: EVIDENCE FOR A DISTANT GIANT PLANET IN THE SOLAR SYSTEM 論文
〈関連リンク〉
- Caltech: http://www.caltech.edu/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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