回転ブラックホールが作る宇宙の「竜巻」

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【2011年11月29日 京都大学

長らく正体不明とされてきた、竜巻のような渦巻状の電波天体。今回、日本のX線天文衛星「すざく」と国立天文台の野辺山45m電波望遠鏡によって、回転ブラックホールがこの「竜巻」を作っていることが突き止められた。


電波で見た宇宙の「竜巻」

電波で見た宇宙の「竜巻」。横軸は銀経(天の川に沿った経度)、縦軸が銀緯。クリックで拡大(提供:発表資料より、以下同)

電波とX線で見た宇宙の「竜巻」

電波(白色)とX線(オレンジ色)で見た宇宙の「竜巻」。竜巻の両端がX線で明るくなっているのがわかる。クリックで拡大

宇宙の「竜巻」(画像1枚目参照)とは、天の川銀河の中心方向にある、らせん状の渦を巻いた電波天体で、1960年に発見された。このような変わった天体は他に例がないが、どうやって「竜巻」が作られているのか、いろいろな説はあったものの、よくわかっていなかった。

京都大学をはじめとした研究チームは、X線天文衛星「すざく」と国立天文台・野辺山の45m電波望遠鏡を用いてこの天体を観測した。「すざく」の観測から、竜巻の両端にほぼ同じ温度のX線を出す高温のプラズマが存在していることがわかった。

また、電波望遠鏡での観測からは、このプラズマのところに分子雲が存在していることがわかった。竜巻と高温のプラズマ、分子雲は全て同じ距離、天の川銀河のほぼ中心付近にあることもわかった。

これらの結果を総合すると、竜巻は2方向に出ており、その中心には回転するブラックホールがあると考えられる。このブラックホールが集めた塵がジェットとして放出される際にブラックホールの回転の影響でらせんを描き、竜巻として見えていたというわけだ。そしてこのジェットが分子雲にぶつかることで、高温のプラズマが発生していると考えられる。

ブラックホール本体と思われる天体は観測されなかったため、現在はブラックホールに落ちるガスの量も減っていると考えられる。しかしこのブラックホールから発生したジェットは現在も逆方向に進んでいるはずで、開発中の次世代X線天文衛星「ASTRO-H」でその様子が観測できると期待されている。

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