赤外線天文衛星「ハーシェル」が観測終了
【2013年4月30日 ヨーロッパ宇宙機関】
欧州の赤外線天文衛星「ハーシェル」が29日までに科学観測を終了した。3年以上にわたる観測で、恒星の誕生や銀河の形成史など多くのことを明らかにしてきた。
2009年5月14日に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関(ESA)の赤外線天文衛星「ハーシェル」が冷却材を使い果たし、3年以上にわたる科学観測を終了した。赤外線観測では観測機器自体の熱による赤外線放射を防ぐために冷却が必要となるが、4月29日のハーシェルとの通信で衛星の温度が上がっていることがわかり、冷却用の液体ヘリウムがなくなったことが確認された。
ESAのハーシェル研究員Göran Pilbrattさんはその功績について、「ハーシェルはこれまで明らかになっていなかった宇宙の新しい姿を見せてくれました。星の誕生や銀河形成の知られざるプロセス、分子雲から生まれたての赤ちゃん星まで宇宙のさまざまな天体に見られる水の存在など、いろいろなことがわかってきました」と述べている。
科学観測は終了したものの、これまでに得られた観測データの調査解析から、今後も多くの発見があると期待される。
ハーシェルの運用はしばらく続き、5月には安定して太陽を公転し続けるような軌道に移される。