主星から1000億km彼方に追放された系外惑星

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みなみじゅうじ座の若い恒星に、1000億kmも離れた系外惑星が見つかった。恒星の近くで誕生した後、何らかの原因で遠くへ弾き飛ばされてしまったようだ。

【2015年12月2日 UC Berkeley

みなみじゅうじ座の方向約300光年彼方にある8等星「HD 106906」は、年齢1300万年歳と若い恒星だ。その周りに2014年、木星の11倍もの質量を持つ系外惑星が発見された。惑星は中心星から650天文単位(約980億km)も離れており、これは太陽から冥王星までの16倍も遠いところだ。

HSTがとらえたHD 106906系
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたHD 106906と系外惑星HD 106906 b(右上)。青白い部分は星の周りに分布する彗星帯。灰色は観測で星の光をさえぎった部分、その内側(右下の囲み)はジェミニ望遠鏡で撮影した中心星付近(提供:Paul Kalas, UC Berkeley)

ジェミニ望遠鏡で中心星付近を詳しく観測したところ、星の周りに塵が環状に分布する様子がとらえられた。環の内側50天文単位(太陽系ではエッジワース・カイパーベルト付近)には何も見当たらないことから、そこにあった物質を材料として惑星が作られたと考えられる。そしてその後、何らかの理由によって惑星系に撹乱が起こり、惑星がはるか遠方に弾き飛ばされてしまったと考えられる。

惑星が、星周囲の環の傾きから21度も離れたところにあるのも不思議な特徴だ。さらに、星の周りには彗星帯のような小天体の集まりらしいものも見られるが、惑星に近い側は薄く細長く伸びているのに反対側は短いという偏った構造をしている。こうした特徴や構造も、撹乱の影響なのかもしれない。

また、惑星には環が存在する可能性もあるという。

若い恒星の周りの惑星系を調べれば、私たちの太陽系が若かったときにどのような姿をしていたのか、そしてその後どのように進化して現在の惑星の配列や小天体の分布につながってきたのかを知る手がかりが得られる。太陽系の形成初期に存在していた惑星のなかにも、誕生した場所から遠くへ放り出されてしまったものがあったのかもしれない。

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