火星大気にメタンはない キュリオシティが現地調査
【2013年9月20日 NASA】
従来火星大気に含まれるとされてきたメタンガスが、探査車「キュリオシティ」による測定では検出されていない。信頼性の高い現地調査の結果は、火星の生命探しに新たな展開をもたらしそうだ。
太陽系でもっともありふれた炭化水素であるメタン(CH4)は、生命の存在を探る一定のめやすとして火星大気での測定が行われてきた(注)。
地上や火星周回機からの観測から、火星大気のメタンはもっとも濃いところで45ppb(参考:1ppb=0.0000001%)という値が出ており、火星の生命活動を示唆する兆候ではと期待されていた。
だが火星探査車「キュリオシティ」が2012年10月から6回にわたって大気を採取し分析した結果では、従来を大幅に下回る1.3ppbにすら満たないことがわかっている。以前の調査時から急にメタンが減ったということも考えられないという。「今回の調査で、火星にはメタンを発生させる生命が現存しないことがわかりました」(NASAの研究員Michael Meyerさん)。
精密な現地調査でメタンガスがほとんど存在しないことが明らかになったことは、実際に見つかった場合と同様に重要な成果といえる。キュリオシティはさらにガスを濃縮することで検出下限値を1ppb未満まで引き下げ、メタンの測定を試みる予定だ。
注:「生命活動とメタン」 メタンは必ずしも生命活動のみで発生するわけではなく、またメタンを発生させない微生物は地球上に多くの種類が存在する。