かつて火星には広大な海があった

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現在の火星の水を分析したところ、かつて火星には地表の2割を覆うほどの広大な海があったことがわかった。これまでの推測より長い期間にわたって大量に水が存在したことが示されている。

【2015年3月6日 ケック天文台

原始の火星は水が豊富に存在し、生命に適した環境だったと考えられているが、水が実際にどれだけあったのか、いつどのようにして地表から消えたのかなどは、よくわかっていない。

NASAのGeronimo Villanuevaさんらは、米・ハワイのケック望遠鏡などで火星の大気に含まれる重水(重水素で構成される水)の割合を調べ、火星の地表から失われた水の量を探った。重水素に比べて軽い普通の水素は宇宙空間に逃げやすいので、普通の水に対する重水の割合が多いほど、大量の水が失われた、つまり大量の水が存在したということになる。

観測の結果、特に極域付近の水は重水の割合がひじょうに高く、現存するのはもとあった水の量のたった13%であることがわかった。その量と現在の地形から推測すると、43億年前の火星には、北半球の広大な平地を中心に地表の2割ほどを覆う、最大で1.6kmの深さの海があったようだ。これほど多くの水が存在したとなると、水が豊富な期間はこれまで考えられていたよりも長く続いたことになる。生命を育むのにはじゅうぶんな時間だ。

今回の研究では火星の複数箇所における水分布の季節変化も追っており、地下に消えた水の行方を探るのにも役立てられるかもしれない。

火星の海の想像図
かつては火星も、北半球を海に覆われた“水の惑星”だったかもしれない。クリックで拡大(提供:(左)NASA/GSFC(右)「ステラナビゲータ」で表示)

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